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【黒子のバスケ】拝啓、君へ

第18章 ポスト


伊月の部屋にあった数冊のノートは、16年目を最後に締め括られていた。
俺と一緒になって読んでいたリコが隣で涙ぐんでいる。

散々飲んだ俺達は、朝方ベロベロになって解散した。
この後伊月に会いに行くと知っていたリコだけが残って、今一緒に目的の墓地へと来ている。
来る途中で買った花束を添えて、伊月の残したノートを読み終えて今に至る。

ノートには一通の手紙が挟んであった。
宛先は苗字名前。
ずっと伊月が想っていた相手で、伊月が彼女に宛てた手紙だった。
手紙と目の前の墓石を交互に見る。
伊月家之墓と彫られたその墓石は、まだ新しくて綺麗だった。

「苗字ちゃんと同じ死に方しなくてもよかったのに。伊月君もバカね」

一年前。
伊月が手紙を書き始めてから16年後。
苗字と同じ交通事故で伊月は亡くなった。
その前に事故で記憶喪失になっているというのに、不用心だ。

事故現場にあった伊月の荷物からこの手紙が出てきたと聞いた時は、さすがに俺も涙を流した。
きっと苗字に手紙を送ろうとした矢先だったのだろう。

高校時代から付き合い始めた二人は中学からの知り合いだった。
お似合いのカップルだと思っていただけに、17年前に苗字が亡くなった時の伊月はまるで抜け殻で、見ていられなかったのを覚えている。
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