第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】
それよりも、問題はミアだ。
大事な私用とは一体…仕事以外に大事なことなどあったか?
いつも俺には仕事をしろと、口酸っぱく言ってくるというのに。
あのミアから仕事を取ったら一体何が残るというのだ。
周りに慕われているのも、仕事あってのことだろう。
ミアから仕事を無くせば、そこに残るものなど───…
「……ないことも、ない」
否定しかけた己の思考を、己で改め直してしまう。
周りは仕事時のミアのことばかり話すが、俺はそれ以外のミアと長年つき合ってきた。
そもそも仕事人間である時より、オフの時のミアの方が感情は豊かだし話していて面白い。
冗談も言うしノリだって悪くない。
それでも根本の我慢強さや背伸びをするところは、変わっていないが。
同い年だというのに、昔から妙に俺の前では大人ぶって姉のような面をしていた。
俺とミアの間に立場の違いなどない。
肩書きで違いはあれど、俺はずっと対等だと思ってきた。
寧ろ、俺には関与させてもらえなかった人造使徒計画に関わっていたミアの方が…
「………あ。」
無心で動かしていた足が止まる。
考え込んでいた顔が上がって、はっとした。
ミアが何処へ消えたのか。
唐突にだが、答えを見つけたからだ。
そうだ、今日は。
今日、この日は。