第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】
ウォンから聞かされた、フォーにとっては瞬くようなほんの昔の話。
呆れ溜息をつきながらも、ウォンの憎めない笑顔を前につられてフォーの口元も緩んだ。
「ま、結局バクはミア馬鹿だったってことか」
「近過ぎる距離は、時に人の目を眩ませてしまうのですよ」
「拗れた性格のバクにゃ丁度良い薬だったんじゃねぇの」
回り回って遠退きながらも歩み寄れた二人。
そうしてようやく長い時間を掛けて、また二人同じ歩幅で並ぶことができたのなら。
「ただこれで一安心って訳にもいかないだろうけど」
「そうですなぁ。これから、で御座いますな」
二人を幼い頃から見守ってきたフォー達にとっては、感慨深い。
しかしその感情も長続きはしない。
よくある恋愛物語のハッピーエンドは、願った相手と結ばれて幕を下ろすかもしれない。
しかしバクとミアにとって、ここが終着点ではないのだ。
ようやく並んだ歩幅。
それは共に歩き出し始める為のもの。
ここからが、始まりなのだから。
fin.