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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】



「あれ…バク支部長?」

「ああ」

「珍しいですね、此処へ顔を出すなんて。風邪、治ったんですか?」

「もう完治した。ズゥじっさまの漢方薬のお陰だな」

「それは良かったです!」



素直な笑顔を向けるハオに礼を言いつつ、適当な相槌を打つ。

あれから数日後。
結局、風邪を引いても風邪が治っても、一度もミアは顔を見せなかった。

別にそこに文句を言おうと思って来た訳じゃない。
見舞いの品の礼くらい、言ってもいいかと思って足を運んだだけだ。



「それで…ミアはいるか?」



恐る恐る、ハオの後ろの指揮官部屋を目で追う。

…別に怖がってはいないぞ。
あれから色々あり過ぎて、妙に構えてしまうというか。
フォーやウォンが変なことを言うからいかんのだ。



「ミアさんでしたら、少しばかり出張に…」

「出張?そんなもの聞いてないぞ」



しかし返されたのは予想外の応えだった。

アジア支部を出るのなら、俺の耳にも入るはず。
そんな報告はなかったはずだが。



「ああいえ、ちょっとした支部内での外出というか。各班の見回りのようなものです」

「それは管理班の仕事だろう。そんなことまでミアが受け持っているのか?」

「…ええ、まぁ…」



ハオという男のことを詳しくは知らないが、この間見舞いに来た時に直感はした。
この男は仕事が出来る人間だ。
ミアが選んだのだから尚更。

…こんな曖昧な報告などする者でないことくらい、俺にもわかる。



「………」

「ええ、と…」



じっとその顔を見上げていれば、俺の圧に押されてかハオが口籠る。

こいつ、無駄に背が高いな…いけ好かん。
長身の中国男など、黒の教団本部の天パ眼鏡を思い起こすではないか。



「別に僕は怒ってなどいない。部下の現在地を知りたいだけだ。ミアは何処にいる?」

「…言えません」

「何?」



しかし返されたのは、尚も予想外の応え。
思わず耳を疑う。

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