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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第2章 ◇恋の始まり(ラビ)



 その時。


「…ん、…」

「!」


 不意に間近にあったその長い睫毛が揺れて、薄らと瞼が開く。
 見えたのは暗い南の瞳。
 ユウやリナリーと同じ、暗い夜の闇みたいな色。

 闇みたいな、色なのに。


「……」


 暗いその目に映し出されたのはオレの顔。
 その真っ暗な闇の中に、オレだけが映り込んでいて。
 なんだか不思議に吸い込まれるような感覚に陥った。

 飲み込まれるようなそんな大きな力じゃなくて、不思議に引き寄せられる感覚。


「──…」


 魅入るって言うのか、上手くはわかんねぇけど。
 咄嗟に言葉もなにも出てこなくて、その目を間近に見返した。


「……ラビ…?」


 どこか寝惚けた声で南がオレを呼ぶ。
 舌足らずな、少し腑抜けた甘い声。


 ドキリとした。


「…っ」


 顔に熱が集中する。


 なん、さ。

 これ。

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