第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】
コツコツコツ
伝統的な唐草文一纏枝の文様が描かれた机の上で、握った拳を小刻みに叩いて鳴らす。
貧乏揺すりの類のようなもので、気が騒ぐとつい出てしまう自分の癖だ。
コツコツコツ
なんでこんなに悶々とするのか、理由はわかっている。
ミアだ。
つい先日、衝撃的な行為と共に知った彼女の想いに、格好悪くも面食らってしまった。
次の日どんな顔で会えばいいのか、極度に緊張して蕁麻疹の抑制剤まで飲んだ程だ。
というのに、当の本人は知らん顔。
いつものように挨拶も会話も向けてくるから、またそこで面食らってしまった。
でもそこまでだ。
伊達に30年も幼馴染をしていない。
どんなに普段通りを装っていても、それが仕事上での顔なことくらいわかる。
…そうだ、ミアは仕事上での顔しかしなくなった。
俺とは支部長と指揮官の間柄になる。
そう伝えてきたことを有言実行しているらしい。
そのことにも、頭が悶々とする。
コツコツコツ
大体…本当なのか?
あのミアが?
何かとリナリーさんのことで騒げば、呆れ顔で俺を見下してきていた、あのミアがか?
「…わからん」
冗談であんなことをするキャラではないが、だからと言って何故あのタイミングだったんだ。
大体いつからそんな目で見てきていたんだ。
俺のことを…す、好き、などと…っ
「わからん…!」
「っせぇなさっきから!何ブツクサ呻いてんだよバカバク!」
頭を抱えてつい声を荒げれば、ガツン!と横から強打の衝撃がきた。
支部長机を蹴り上げたのは、その幼い見た目とは裏腹に凶暴な守り神であるフォー。
…此処は俺様の部屋だぞ…呻いて何が悪いんだ…。
「フォーには関係ないわ…」
「フン。どーせミアのことだろ?」
「ブッ!な、ななな何故それを…!?」
「あたしをなんだと思ってんだ、このアジア支部全てに結界を張ってる守り神だぞ?行けない場所なんてねぇな」
「き、貴様ッ出歯亀しおったな!?」
したり顔で笑うフォーに、カッと顔が熱くなる。
あの出来事をフォーに見られていたなんて、最悪だ…!
からかいのネタにされる!