第17章 初恋がロリコン男である件について【バク】
「おはようございます、ミアさん」
「おはよう、ハオ君。早速だけど今日の報告お願い」
「はい。現時点で入ってきているのは、科学班での新薬開発の会議。警備班強化の実施訓練。フォーの要塞補強の工事です」
私の職場は人が少ない。
と言うより、私と秘書のハオ君しかいない。
パソコンが二台机に設置された小さなこの部屋が、私の職場だ。
と言っても戦場となるのは、此処じゃないんだけれど。
「警護班の実施訓練は見ておきたいわね。時間空けておいて」
「はい」
「となると新薬の会議は午後になるかな…空いてる?」
「午後は後日行われる北米支部との合同セミナーのミーティングが…」
「ああ、レニーの所。それじゃあ仕方ない。会議の内容は後で書面で貰えるかな」
「わかりました」
「フォーには後で会いに行くから、予定は作らなくて大丈夫」
「後で、と言いますと…また時間外労働ですか?」
出勤早々、まずは今日一日の流れを聞く。
その日の予定を頭の中で組み立てながらハオ君にメモらせていると、不意に手帳の上を走っていた彼のペンが止まった。
上がった顔は…何?その不満顔。
「友人に会いに行くから、労働じゃないわ」
「ですが、内容は仕事の一旦です。業務時間内に会いに行けばいいのでは?」
「時間が押してるの。警備リストにもまだ目を通していないし」
「それは僕がやりますから。ミアさんはフォーの為に時間を」
「私自身で目を通したいのよ」
不安が大きくなるように、声も大きくなる。
そのまま押し切られても困るから、早々ハオ君の言葉は遮らせてもらった。
悪いわね。
「心配ありがとう。でも大丈夫だから」
いつものことだから、と笑いかければ、渋々ながらも彼は口を閉じた。
流石我が部下、聞き分けがよく呑み込みが早い。
「それで今日の予定を組み立ててくれる?」
「わかりました」