第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「何?」
「いや…なんて言うか…」
「女っぽい、と言うか…なぁ」
「やっぱ生理の所為か」
だから何が。
なんでそんな息詰まるような回答なの。
女っぽいって何、私女ですけど。
そわそわと顔を背ける皆に訳がわからず首を傾げていると、その斜めにずれた視界の中で走り込んでくる巨体が───あ。
「はいドーーン!!!!!」
「うぎゃ!?」
「どわぁああ!?」
「げべぶ!!!」
筋肉の盛に盛った大柄な仲間達をいとも簡単に弾き飛ばしたのは、同じく修練に励んでいたであろう筋肉質な大柄な体。
「邪魔よアンタ達!お退きなさいな!」
「ぼ、ボネール…!?」
「おま、あっちで組み手してたんじゃ…!」
新人ファインダーのボネールさん。
新人なのにすっかりファインダーの中で風格あるキャラになってしまったのは、もう天性のものだと思う。
初めて会ったパリ独房の中でも、囚人達のボスになってたし。
「乙女心を感じたから駆け付けたまでよ。アンタ達、配慮がないわねぇ!ココは女同士の時間よ!余所へ散りなさい!」
「うわっお、押すなって!」
「わかったわかった!」
………。
…ええと…女同士って…私しかこの場に女はいないけど。
ボネールさんのことかな…ボネールさんのことなんだろうな。
それなら女とオカマさんの時間です、ボネールさん。
「あ。」
ボネールさんに追いやられる仲間を見守っていると、不意に思い出した………昨日の事の発端を。
そうだ、ボネールさん!
「ボネールさんッ!」
「待って雪ちゃん。お話は男っ気のない所でじっくり…」
「そんなことより!ボネールさん、ユウに余計なこと吹き込んだでしょ…!」
ボネールさんがいる時点で男っ気は消えないから!
仲間が散ったところでボネールさんへと詰め寄る。
本当、余計なことをアレコレと…!
「あら?あらあら?」
「っ…な、何」
「あら〜」
なのに何故かボネールさんは、修練中もしっかりメイクした長い睫毛をばさばさと瞬いて私を射抜くように見てくる。
かと思えば、分厚く真っ赤な唇がにんまりと弧を描いた。
う、嫌な笑み。