第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
…また済し崩しにされてしまった…。
「でよぉ、結局ジャフの奴フラれてやがんの!女々しい男は嫌いだって言われてよ!」
「ぎゃははは!自業自得だな!」
「っうっせーよ!笑うんじゃねぇ!」
ユウの強引さは昔から知っていた。
だけど、そういう間柄になってからは多少耳も貸してくれるようになって、退く時は退いてくれるようになった。
初めて私を抱いた時も、本気で嫌ならしないって配慮してくれたし。
それでも、あれもこれも、ユウの望む展開になっているのは…私が結果的に流されてるからだ。
「なぁ雪!お前も笑えるよなぁ!」
うう…意志の弱い奴め…簡単にユウの言葉に胸きゅんとかして。
もっと厳格になれ。
「なぁって。雪!」
「…ん?あ、何?聞いてなかった」
睨んでいた高い天井から視界が転じる。
振り返れば、一汗流してすっきりしたファインダーの皆の姿があった。
しまった、修練場で皆と鍛錬中だったっけ。
「おい、大丈夫か?」
「そういや今日一日、元気なかったなぁ」
「あれか?生理か?」
「やっぱ女の体となると不便なもんだ」
「違いねぇ」
んだんだと頷いたかと思えば、一斉にどっと笑いが起こる。
下品な下ネタでよく笑いを起こすのは、仲間達の見慣れた光景だ。
相変わらず好きだね、そういうの。
「そうだよ。だから私今、情緒不安定なの。丁寧に扱って下さい」
いつもなら呆れて否定するかノッてふざけるかしてたけど、どちらも気力がないからパス。
丁寧に頭を下げて、再び修練場を支える大きな柱の一つに背を預けた。
今は休憩中だし、そっとしておいて。
…下半身が主にダルいんで。
「はぁ…」
抱いた膝に顎を乗せて、自然と零れ落ちる溜息。
ダルいのはダルいけど、男の時に抱かれた時よりは痛みはない。
こうして運動だってできてる。
でもそれって…体が慣れてしまったってことなのかな…ぅぅ。
嬉しいような嬉しくないような…。
「お、おい雪。本当に大丈夫か?」
「お前らしくねぇなぁ…というか、」
「うん…なんか……うん」
「?」
今度は神妙な面持ちで心配してくる仲間達。
もう一度目を向ければ、じぃっと興味ある目で見てきていた顔が途端に幾つも逸らされた。
何。