第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「ぷは!急に引っ張り込まないでよ…ッ」
「お前が部屋の前で煩ぇからだろ!」
「煩いのはユウの方だから。別にゲイ本見ても私驚かないよ?」
「驚いてただろ何ぬかしてんだ」
「そっちの驚きじゃなくて、ユウがそっちに興味あること。でもまさかそんなマッチョ系が好みとは」
「違うつってんだろさっきから!これはあのフランス女男が寄こしたもんだ!」
「フランス女男?……あっボネールさん?相変わらず変なあだ名付ける───…待って。なんでボネールさんがユウとゲイ本貸し合う仲になってるの?」
「貸し合ってねぇ。押し付けられたもんだ」
「いやだから、なんで押し付けられる仲に…あ。」
「あ?」
「もしかしてユウが男同士のアレコレ教わってたのって…ボネールさん!?」
「………」
「だんまりはYesだから!やっぱりかー!道理で余計なことをアレコレ…!」
「なんだ余計って。お前だって善がってただろ」
「その話はもういい!」
「蒸し返したのはお前」
「事の発端はそれ!」
赤い顔で後退りながら、ゲイ雑誌を指差し叫ぶ。
そんな雪の反応に溜息をつくと、神田は興味なく雑誌を見やった。
すると唐突に、バサリとゴミ箱の中に放り落とす。
「あっ」
「こんなもん必要ねぇよ」
「それは…否定しないけど。でもいくらなんでも捨てなくても…ボネールさんが可哀想だよ」
「あいつがこれくらいで悲しむタマか」
ばっさりとボネールを切り捨てるように、手にしていた紙袋もベッドへと放る。
がさりと音を立てて落ちたそれは、シーツの上に中身をぶちまけた。
雑誌だけで膨らんではいなかった紙袋の中には、固形の物が幾つも入っていた。
「…何これ」
しかし転がり出てきたのは、どれも雪が目にしたことのない物。
先端が丸みを帯びている太い注射器。
トランプのスペードのような形をしたゴムプラグ。
男性器のそれを思わせる形のバイブ。
しかし思わず一歩後退ってしまうのは、数週間前に抱かれた体がそれに似た物の刺激を憶えていたからか。
「これは…この間不足していた準備用だな」
「何、準備用って。これこそ要らない物でしょ」
「…いや。これは要る」
「はい?いやいやいや。え?自分に使うの?まさかのそっち系に染まったのユウ?」
「んな訳あるか阿呆」