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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)



「お!噂をすればビケイあんちゃんが来たぞ」

「あ。本当だ美形」

「確かに美形」

「よぅ美形!」

「…喧嘩売ってんのかお前ら」



いつものように眉間に皺を寄せた顔を尚濃くし、睨んで来るのは今し方食堂に訪れた我らが美形代表、神田ユウ。
ギロリと睨んでくる目も慣れたものだと、気にした様子なくラビは溜息をついた。



「なぁなぁ、ユウからも言ってやれよ。恋人が男だなんて冗談じゃねぇだろ?」

「でも雪は気に入ってるみたいだよ?この間、組み手の打倒記録更新したって嬉しそうに報告してきたし」

「それは雪本人の意見だろ!なんさ打倒記録って!そのうちムキマッチョになるぞ、ランボーみたくなるぞ!いいのかよ!?」

「私はスタローンよりシュワルツェネッガーの方が好みだなぁ。増強剤の結果採取できるしね」

「(南に聞いたオレが阿呆だった…)っいいのかユウ!雪がターミネーターみたくなっても!」

「別に」

「「「!?」」」



何故普段から女性の少ない職場で、貴重な友人を更に男に変えてしまわねばならないのか。
抗議を上げているのは自分だけかとラビが嘆きたくなる思いで神田へ縋れば、予想を裏切る返答にその場にいた全員が目を剥いた。
流石に想い人が筋肉躍動する体となってしまえば、止めに入らないのか、と。



「スゲー!神田あんちゃん、男とつき合えんのっ?」

「男だ女だ関係ねぇだろ。雪は雪だ」

「…さ…流石、雪を昔っから女として見てなかっただけあるさ…」

「人間サンドバッグにしてたしね…」

「ターミネーターでいいなら最早人としても見てないけど」

「だから喧嘩売ってんのかお前ら」



キラキラと珍獣を見つけたかのように目を輝かせるティモシー。
顔を真っ青に首を横に振るラビ。
溜息混じりに呆れ顔を向けるリナリー。
まじまじと物珍しそうに観察してくる南。

ギロリと再び睨み付けようとも、彼らの好奇の視線が止まることはない。

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