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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)



「…イジメダ…」

「? どしたのアレン。顔が机とこんにちはしてるけど」

「…雪サン二見下サレル日ガ来ルナンテ…」

「見下される?」

「アレンくん、雪ちゃんに身長越されたことがショックなの。言わないであげてね」

「あ。成程」



顔面を机にダイブさせたまま、目の前の大量の夕飯にも手を付けず見るからに落ち込んでいるのは、若きエクソシストであるアレン。
こそこそと耳打ちしてくる椛のお陰で合点はいった。
成長期か、入団した頃に比べてぐんと身長が伸びたアレンだが、それでも180cm台のラビや神田に比べれば劣る。
そのことを気にしていたのだろう、今回雪にまでも見下されたことが余程ショックだったらしい。



「まぁま、私の身長(これ)は薬で作られたものだから。大丈夫だよ、アレン。こんなに可愛い彼女がいるアレンは絶対的に勝ち組です」

「雪ちゃんっ?何言って…っ」

「本当のことだよ?私が男だったら放っておかないし。椛のこと」

「えっ」



机に頬杖を付いたまま、伸ばした大きな手で椛のふわふわの髪にさらりと触れる。
ほんの僅かな接触だったが、かち合う瞳は穏やかに微笑む男のもので。



「っ」



ぽんっと椛の顔が赤く染まる。
途端に、がばりとアレンの顔が勢い良く伸し上がった。



「雪さん!?椛をからかうのは止めて下さい!」

「? からかってないよー、本当のこと言っ」

「ダメ!今の雪さんはダメ!椛にちょっかい掛けたら雪さんでも怒りますよ!」

「雪ちゃんって、男の子になって益々格好良くなったねぇ…」

「椛も何言ってるんですかッ」

「あはは。ありがとう。私も顔だけの男に負けないよう頑張るよ。打倒☆美形」



「…あれ、ユウのこと言ってんじゃね?」



ばちこん☆とウィンク混じりに、おっ立てた親指を真下に下げる。
撃沈から起死回生したラビがぼやけば、無言で南とリナリーもまた頷いた。

雪の美形嫌いは、とある所では有名な話である。

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