第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
「ねーちゃんがあんちゃん…?あり得ねー…」
「でも確かにあれは雪なんさ。なぁ、南」
「我ながら凄いものを作ってしまった…惚れ惚れする」
「いや惚れ惚れしねぇから!何あれ!?なんで雪が男になってんの!?南何作ったんさ!」
「南さんも科学班の一員だったってことね…リーバー班長に怒られるわよ」
「ち、違…っこれは事故なの!」
教団の食堂一角。
椅子を寄せ顔を突き合わせているのは、エクソシスト三人に科学班が一人。
リーバーという名をリナリーの口から聞いた途端、顔を真っ青にしたのは事の発端である科学班の椎名南。
今回の雪の体の異変は、どうやら彼女の作り上げた薬が原因らしい。
科学班の中でも稀に見る常識人である南にしては珍しいことだと、まじまじと見ながら忠告するリナリー。
しかし対して南は、物申すとばかりに抗議した。
「それにあれは雪が望んでなったことだから!」
「え?そうなの?」
「う、うん。まぁ、ただの筋肉増強剤を作ったつもりだったんだけど…筋肉にプラス身長も増強されたみたいで」
「ついでに余計なモンまでプラスされてんさ。雪の股間に女にはないゲフォ!」
「ティモシーがいるのよ、自重なさい」
顔を顰めながらぼやくラビの腹部に減り込むは、リナリーの光の速さの足蹴り。
忽ちに撃沈する彼を余所に、興味深くリナリーの目が離れた席を見守った。
「雪ちゃん、すっかり逞しくなったねぇ…」
「あはは、そう?女の時より体力保つから鍛錬も楽しくって。つい熱中しちゃうというか」
「身長もおっきくなったねぇ」
「そうかな。でも視界が広くなって色々行動し易くなったよ」
共に夕食を取りながら、しげしげと見つめる椛の視線に、照れたように笑っているのが今回の話の種。
すらりと伸びた手足に、筋肉がしっかりと付いた男として綺麗に作られた体。
屈託なく笑う顔はラビのような人懐っこい印象を与えるが、彼よりも爽やかに見える。
黒の教団の探索班(ファインダー)部隊所属、月城雪(♂)である。