第14章 Ⓡ◆路地裏イチャアンin神田【企画】
「ふ、ふぅ…ッ」
ぶるりと肌を粟立たせ、縋る腕に力が入る。
口付けを交わす隙間から零れる、くぐもった嬌声。
憶えのある雪の姿に限界が近いことを知ると、導くように快楽を促した。
知り尽くした蜜部の裏側を指先で引っ掻き、溢れる愛液を絡めた親指で秘豆を擦り上げる。
「んく…ッ!」
がくがくと震える足腰に、爪を立て縋る指が快楽の高みを伝えてくる。
微かに血の味がする舌を絡ませたまま、喘ぐ声諸共呑み込んだ。
「ぁ…は…っ」
互いの唇の間を繋ぐ透明な糸雫。
ゆっくりと塞いでいた口を離せば、熱い吐息と共に滴るは欲情の声。
「…イったな」
力の抜けた体を抱き止め囁けば、小さな耳が赤く染まるのが見えた。
しかし羞恥を感じているだろう、雪の体は逃げることなく凭れるように身を寄せてくる。
静かに見上げてくる濡れた黒い瞳。
「…ュゥ、は…?」
問い掛けてくる言葉に、そんなことかと神田は怪訝に見返した。
いくら目の前に欲する体が在ったとて、それだけで欲を爆ぜる程理性を失ってなどいない。
「俺はイってねぇよ、まだ──」
「じゃあ、」
縋る小さな手に力が入る。
引き寄せられて間近に迫る、艶やかに濡れた唇。
「次は…ユウの番、だよ」
消え入りそうに、それでも甘い響きをしていた。
誘う声は、否定の意など何処にもない。
自ら求めてくるその言葉こそ、望んだ三つめ。
ドクリと、触れてもいない体の芯が脈打った。
「───ん?」
「どうしたの?マリさん」
「いや…聴き覚えのある心音を拾った気がして」
大勢の人で賑わう大通り。
行き交う人々の体一つ一つから鳴り響く心の臓は、マリの鋭い聴覚を悉く刺激してくる。
その騒音の中で拾い上げた、微かに聴き覚えのある"音"。
足を止め振り返るマリに、繋いだ手の先のミランダも不思議そうに首を後ろに傾けた。
行き交う人々の中に、知った顔は見受けられない。
「聴き覚えのあるって、教団の誰かってこと?」
「…恐らく」
もしそれがAKUMAと戦闘中のエクソシストならば、のんびりとデートなどしていられない。
感覚を研ぎ澄ませるように、マリは周りの騒音に集中した。