第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「リーバー、班長…」
「あー…本当に特技なら、させてやってもいいんじゃないか」
「!?」
「偶にはな、偶には」
「は、班長…?どう、したんですか…変なものでも食べました…?」
普段の彼からは凡そ考えられない言動に、ぷるぷると南の体が震える。
そんな南に多少の罪悪感は感じるものの、苦笑で済ませる。
「夏の暑さにやられたかな」
「そんな馬鹿な…!」
「偶には馬鹿にもなるさ。今日は一日休めって言っただろ?俺にとっての休日は、南で補える」
「っ…」
背後から抱き竦めて、細い肩に顎を乗せてみる。
よくラビが南に行う、過度なスキンシップの一つだ。
傍目から見守るばかりで、リーバーはそんなコミュニケーションはついぞしない。
実感するように吐息をつくと、自然と体から力が抜けた。
滅多にこうして触れられない南の体は、心臓を煩く叩きもするが、言いようのない安心感もくれるようだ。
「南、顔が茹でダコみたいになってんさ。だいじょぶ?」
反して、ぎしりと固まる南の顔は真っ赤。
「…さっきの前言撤回する…」
間近に覗き込んでくるはラビの顔。
背中は覆う程のリーバーの温もり。
ぷしゅう、と顔から湯気を放ちながら。
両手に花だと笑った、つい数分前の自分を撤回した。
「…心臓が、保たない…」
両手の花は、どうやら可憐に咲くだけの代物ではなかったようだ。
「なぁなぁエミリア、ラビのあんちゃん達何し」
「子供は見ちゃ駄目!」