第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「…班長も?」
「うん。でもラビも消えてたから、どうせ二人で遊んでるんでしょって言ったら納得してたけど」
「そう、なんだ…」
「へー…納得なんて珍しいさな」
南への想いは互いに知っている身。
ラビとリーバーは、言うなれば恋敵のようなものだ。
その恋敵が想い人と共に消えれば、大人しく納得などするものだろうか。
「流石はんちょ、大人な対応さ」
構ってもらえず駄々を捏ねていたラビとは、まるで違う。
両手を頭の後ろで組み薄らと笑いながらも、ラビの隻眼は笑っていなかった。
リーバーが大人だと思い知れば知る程、自分が子供なのだと思い知らされているようで。
(はんちょのええかっこしーめ)
ちぇ、と人知れず口を尖らせる。
「班長は今、何処にいるの?」
「それならあっちのテントの方に…あ、でも今は行かない方がいいよ」
「なんでさ?」
「班長、仕事してるから」
「えぇっ」
「はぁっ?こんな所にまで来て仕事かよ!流石さな!」
決して褒めてはいない。
はっきりと顔を歪める南とラビに、だよねとジョニーも苦笑した。
「なんでも急ぎの決算を思い出したとかで。まぁ教団に戻らなかっただけマシだよね。さっき花火始まりますよって声掛けたけど、熱心に計算式作ってたから、行っても邪魔になるかも」
「花火の音で集中できるんさ?それ…」
「班長だからねー。スイッチが入れば何処ででも仕事できる人だよ」
ジョニーの言う通り。
仕事への頭の切り替えも、入り込む集中力も、他人には真似出来ない程リーバーは秀逸だ。
だからこそ誰よりも仕事漬けになってしまうことも多くなるのだが。
じっと南の目が遠くのテントを見つめる。
「…私、班長を花火に誘ってくる」
「え?でもさっき声掛けたけど、いいって…」
「朝、班長と約束したから。今日一日は休むって言ってくれたから」
「でもさ、急ぎの仕事なんだろ?それなら邪魔しない方がいいんじゃ…」
「誰より仕事できる人なのに、締めに間に合わない書類なんて作らないよ。班長は」
「うーん、そう言われてみれば確かに…」
「行こう、ラビ」
「へ?ってオレも行くんさっ?」