第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「どうしたら間違えんの…っ蛇と紐の違いくらいわかるでしょッ」
「手探りじゃわかんねぇよ。それよりこれを蛇と勘違いしてただけじゃねぇのか」
「それは───…っ!っ!」
「……違うのか」
最早顔面蒼白と言ってもいい。
ぶるぶると首を横に振って腕に強く爪を立てる雪に、神田は呆れ顔で溜息をついた。
「どうせそこらの植物の蔓でも入り込んだんだろ…大袈裟なんだよ」
「っ!も、ういい…!自分でやる!」
「あ、オイ」
「ユウに頼んでたら本気で噛み付かれるっ」
半ばヤケになった雪が自身の短パンに手を差し込んだかと思えば、手応えがあったのか。
固く目を瞑ったまま、ずるりとそれを取り出した。
「…あ?」
神田の眼下に映ったのも。
雪が握ったものは確かに、細長いものだった。
どこか見覚えのある色をしている。
濡れてキラキラと反射しているそれは、目に眩しい金色だ。
「取れたっ?見えたっ?」
「………」
「ねぇユウってば…ッ」
「自分の目開いてよく見てみろ」
「や、やだよ怖」
「いいから見てみろ」
どうやら目の前の神田は手助けをしてはくれないらしい。
観念した雪が恐る恐る目を開けば、見えたのは細長い金色の蔓のようなもの。
「…え」
神田同様、雪には見覚えのあるものだった。
「これって…アレ?」
「どう見てもアレだろ」
ぱちぱちと目を瞬く雪とは別に、神田は仏頂面。
輝く金色の尾のようなもの。
それは教団でも見覚えのあるものだったからだ。
以前、雪が風邪を引いた時にお供として常に傍に身を置いていた。
終いには雪の服の中に潜り込んで待機していたのだから、神田の怒りをそれはそれは買ってしまった、某特殊ゴーレム。
「なんでまたこいつに服ん中引っ掻き回されてんだよ」
「し、知らないよ…アレンの所にいたはずなのに。なんでだろ」
クロス・マリアンのゴーレムでありながら、彼の弟子であるアレン・ウォーカーの傍に常にくっ付いているゴーレムだ。
名はティムキャンピー。