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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第13章 ※◇◆Summer to spend with you.



「言ってやるって、何を…」

「月城雪は綺麗だ」



さぁさぁと優しい雨のような音が木霊する。
柔らかな音の中で凛と響く神田の声に、雪は返す言葉が見つけられず息を呑んだ。



「………椛みたいな胸、してないよ」

「関係あるかよ。俺はこの胸がいい」

「……南みたいに綺麗な肌も、してないし」

「知るか。俺はこの肌が好きだ」

「…リナリーみたいな美少女でも、ない」

「何言ってるあいつの怒った顔を見ろ。…思い出しただけで寒気がする」

「ユウって、変」

「なんだよ悪いか」



ふるふると首を横に振る。
俯きがちに目の前の体に身を寄せると、こつりと額を胸に押し付けた。



「悪くない。全然。私も、変だから」

「何が変なんだよ」

「こんなに無愛想で暴力癖で美形なのに、」

「オイ。最後の必要か」

「必要だよ。私美形好きじゃないもん」



思いきり顔を顰めているのだろう、見なくても気配でわかる。
それでもくすりと口元を緩ませると、雪はゆるりと目の前の体に腕を回した。



「乙女心も全然わかってくれないのに。こんなにユウのこと、好きなんだから」



雪なりの努力したい気持ちを認めつつも、自分はこうだと言い切る神田は、決して優男ではない。
それなのに、そんな彼がいいのだと、それ以外に求めるものはないと、はっきり思えてしまうから不思議だ。



「じゃあ、自信つけさせて。沢山褒めてね」

「お前が堂々としてりゃな。胸張ってろ」

「うーん。張る程胸ないもんなぁ…」

「…揉めばデカく」

「なりません迷信です。揉んだだけで大きくなれば、貧乳で悩む女性なんて生まれません」

「………」

「成程って顔して胸をガン見するな胸を!」

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