第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「そんなに気に喰わないなら、傍で張り付いてたらどうなの」
「別に気にしてない」
「気にしてるでしょ」
「………」
頑なに譲らない神田に対し、同じく隙を与えないリナリーは流石幼馴染と言ったところか。
そんなリナリーに対し神田がアレンや雪相手のように強く出られないのもいつものこと。
「…なぁ」
「なんだ?」
「雪の奴、随分と色気ねー水着着てんなぁと思ったけど…」
「ああ」
「あれはあれで…ふむ」
「悪くないな」
「違いない」
雪と同じファインダー仲間の男達が向ける視線の先には、ウォータースライダーから落ちてきたチャオジーに笑顔で手を差し伸べている雪。
水着の上に着込んでいる姿を見つけた時は落胆もしたが、水分を含み濡れて肌に張り付いたシャツも短パンも、すっかり透けてしまっている。
中に着ているアクアブルーの水着のラインと、肌の色さえもしっかりと目視できる様は堪らず吐息が漏れる。
女体は何故こうも濡れ場となるだけで、魅力的なものへと一気に格上げされるのか。
「逆に見え過ぎてないところがソソるっつーか」
「隠してんのに隠せてないところがやばいっつーか」
「濡れそぼって肌に張り付く感じが堪らんっつーか」
「チラリズム萌えだな!」
「違いない!」
「あ"?何がチラリズムだ頭沸いたこと言ってんじゃねぇぞカス共が」
おお!と歓声を上げる彼らに、即座にドスの利いた神田の声が降り掛かる。
蛇に睨まれた蛙の如し。
離れた場所にいるはずなのに、はっきりと殺意さえ感じる視線に気圧されて忽ち凍るファインダー達に、リナリーは一人溜息をついた。
(思いっきり気にしてるじゃない)
なんとも素直でない幼馴染だろうか。