第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「俺はそういうの柄じゃないしな…」
「前も同じようなこと言ってましたよね。ジジさんも、あの神田だってプール遊びしてたのに」
「あー…あれか」
「待てよ前っていつさ。あのユウもプール遊びしてたって何?オレ初耳なんだけど」
「だから偶にはいいじゃないですか?」
「でもなぁ…」
「スルーすんなさ!オレ知らねーんだけどそれ!」
「まぁ待ってラビ。今リーバー班長説得してるから」
「待ってじゃねぇしなくていい!オレは南と青の洞窟に行きたいんだって…!」
「え?ナニナニ?」
「青のどーくつ?」
「なんだそれ面白そー!」
南とリーバーが共に赴いたアジア支部への任務。
そこで乗船した船のプールでの出来事など、ラビが知るはずもない。
教団に設置されているプールを使用している南を見たことがないラビには、とんとなんのことだかわからない。
堪らず声が大きく変われば、それだけ周りへの影響も大きくなる訳で。
興味を惹くワードだったのだろう、やんやと集まってくる周りの団員達に堪らずラビは顔を顰めた。
「どうしたんだ?南」
「それが、班長が洞窟に遊びに行くのは柄じゃないって」
「はー!リーバー班長らしい返事っすねー!」
「つまんねー!」
「オイ」
「なら一緒に行きましょーよっ」
「そうそう、皆で行けば怖くない」
「俺は怖いなんて一言も言ってないぞ」
「駄々捏ねて行かないのはビビリも一緒。さ、行きましょー!」
「お、おい待て引っ張るな!本当に柄じゃねぇんだって…!」
「此処まで来て遊び拒否なんて野暮っすよー」
「よし、南も行こうぜっ」
「あ、うん!」
「………なんでそーなるんだよ…」
わいのわいのと科学班の面子に引き摺られるリーバーに、南も駆け出す。
「ラビっ行こう?」
一人項垂れるラビに、振り返った南の手が差し出される。
眩い太陽を背に笑顔で催促してくる水着の彼女は、誰が見ても眩しく映る。
(…反則さそれ…)
その手を握らずにいられようか。
科学班の研究所でリーバーが南の休日の誘いを断れなかった心境をひしひしと感じながら、ラビは力なくそこへ手を差し伸べたのだった。