第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「な、なんつーもんを狩ってんすか…!」
「シーシェパードに狙われる!」
「つーかココ鮫も鯨もいんのォ!?豊かな海だなオイ!」
既にソカロの手により腹を一直線に裂かれた鯨は息絶えている。
海に戻すこともできない現状、環境保護団体を刺激せぬようやることと言えば一つだけ。
「まぁ…!なんて腕の振るい甲斐がある食材かしらん…!」
ありがたく感謝の気持ちで隅々まで平らげること。
ない袖を捲る動作をしながら、目を輝かせるジェリーに迷いはなかった。
「お待ちどぉーん!鯨肉の刺身、サラダ、ステーキ、竜田揚げ、シチュー、ユッケ、エトセトラエトセトラよ!」
「う…美味ぇ…!新鮮な肉だからか臭みが一切ない!」
「このマンボウの肝和えもめちゃうま!」
「まさかこんな所でフカヒレ食べれるとは…ぅぅ!」
「……なんだこれ」
滝のように感涙しながら、次々とジェリーが生み出す料理に齧り付く。
そんな団員達の姿を前に、捌いた魚を片手にリーバーは途方に暮れた。
ジョニーに魚の捌き方を教えて戻ってみれば、いつの間にやら豪勢なバイキングが開かれているではないか。
「あ!リーバー班長!班長もどうっすか!」
「このフカヒレスープめっちゃ美味いっすよ…!」
「山菜も山程あるし!」
「あー…俺はいいから、お前ら食べてろ」
「「「はいっス!」」」
もりもりとハムスターのように頬を膨らませ料理を咀嚼する一同の威勢の良さに、つい苦笑する。
ジェリーがいれば団員全員、空腹に悩まされることもないだろう。
そんな安心と共に、折角ジョニーが捌いた魚だと一人バーベキューコンロに戻れば、横から伸びるトングが一つ。
「このハマグリ、もう良い具合ですか?」
「南?」
「食べてもいいなら、いただきます」
「あ、ああ…それはいいが…」
リーバーの横に並んでプラスチックの皿とトングを手にしていたのは、バイキングに舌づつみを打っていない南だった。
大きく開いたハマグリに醤油を垂らすと、美味しそうにぱくりと頬張る。