第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「おー、ティモシーよくや…っデカ!なんだこの魚!?」
「マンボウってんだって。ししょーに教えてもらった!」
「まんぼう!?」
「どうやって捕まえんだこれ!」
白い砂浜を引き摺られてきたのは、裕にティモシーの体をも超える巨大マンボウだった。
いくら大人しい魚と言えど、子供一人で捕まえられるような代物ではない。
「でもししょーはもっとスゲーんだぜ!なっエミリア!」
「え、ええ…まぁ」
「ちょっと待て。師匠って…あのクラウド元帥だよな?」
「一体何を…」
元帥ともあろう御方が釣った魚とは何か。
ティモシーが笑顔になればなる程、皆の中で嫌な予感が膨らんでいく。
どすん、と砂地に重い物を放る音が響いたのはその時。
「これで量は足りるか?」
後方から響く凛とした女性の声は、紛れもなくクラウドのもの。
恐る恐る振り返る団員達の目に、美しいボディラインを黒いビキニで纏った金髪美女が映し出される。
ティモシーの師と当たる彼女が片手で引き摺ってきたものは、マンボウを遥かに凌ぐ大きさの巨大な───
「さ、さ…!」
「「「さめーーー!?!!!」」」
かの某鮫映画で一躍有名となった、ホホジロザメである。
「ちょっと待て!ココ鮫がいんの!?ねぇ鮫がいんの!?!!」
「ギャー!まだ生きてますよそれピチピチいってるぅう!!!」
「心配ない、すぐに息の根は止める」
「そういう問題じゃないって…!」
「はん!まだまだだなァクラウドよォ…!」
悲鳴を上げる科学班の背後から飛んでくる、やけに低い重厚感のある声。
びりびりと肌に殺気さえ感じさせる声の持ち主は、教団内には一人しかいない。
「オレ様の獲物の方がデケェ!これなら全員が食ってもツリが出るぜ!」
高笑いをしながら吼えるは、クラウドと肩を並べる元帥が一人、ウィンターズ・ソカロ。
彼から発せられる突き刺さるような殺気に、青い顔で再び振り返る科学班一同。
ぬ、と山のような影が視界に覆い被さった。
見上げた先には巨大な岩。
「エ…何コレ…」
「ま、まさか…」
「嘘だろオイ…」
否、豪華客船程もあろうかと思われる、巨大な哺乳類動物。
「「「鯨ぁぁああぁ!?!!!!!」」」
正しくは哺乳類のクジラ目、鯨凹歯類に属する水生動物である。