第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「ラビくん、失敗しちゃったね…」
「まぁ椛の恋人よりは上手く褒められないだろうね」
「そ、そんなことないよ」
「あるある。あんな下心のない褒め言葉、早々誰も言えるもんじゃないし。流石クロス元帥の弟子」
「下心…ないように、聞こえる?」
「うん。ないでしょ?」
「………」
「え?あるの?あのアレンが?…狼になるの?」
沈黙は肯定しているようなものだ。
それでも当たり障りない返事をできずにいる椛に、興味津々の顔で雪は詰め寄った。
人の恋路は気になるというもの。
それもこの純情そうな二人なら尚更そちらが気になる。
つまるところ、夜の営みが。
「前から気になってはいたんだよね。あのアレンが性欲的なものを椛に見せる時あるのかなぁって」
「わ、私もアレンくんの所に行こうかなっ待ってくれてるだろうし…!」
「あ。待って椛まだ…!」
「ごめんなさい!」
雪の質問から逃げるように、慌てて腰を上げた椛もまたパラソルの下から太陽の下へと身を晒した。
待ったを掛ける雪の制止も聞かず、白い頭を捜し出す。
「アレンくん!」
一際目立つ白髪はすぐに見つかった。
波打ち際でクロウリーや他団員達と雑談をしている。
大きく手を振り駆け寄る椛に、やがて気付いたアレンの顔も向く。
「あ、椛───」
しかし応えようと上げかけた赤黒い左手は、中途半端に止まってしまった。
ギシリと笑顔が固まるアレンに、硬直したのは彼一人だけではなかった。
「お…お?」
「なん…っ」
「あれ、は…っ」
アレンと雑談を交えていた雄の団員達も一斉に目を見開く。
捉えたのは、太陽の光に透ける髪に白い肌を晒す女性。
勿論のこと、同じ団員でありアレンの恋仲なのだから知っている彼女の顔だ。
胸元とフレア状のスカートに付いたフリルが愛らしい、真っ白な水着。
しかしそのどこにも彼らの目は向いていなかった。
釘付けになっているのはただ一つ。
(((グラマラス…!)))
躍動で揺れる、二つの見事な豊胸。