第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「く…っはんちょばっかにオイシイとこ持ってかせるかよ…!」
「あ。復活した」
「ラビくん頑張れ〜っ」
分は悪くとも負ける訳にはいかない。
リーバーやジョニーにできて自分にできない訳はないのだ。
凹んでいた自分に鞭打ち、勇んで南へと駆け寄るラビの背に椛の声援も加わる。
「南!」
「ん?」
今度は真っ直ぐにその姿を捉えた。
「何?ラビ」
「その…っ水着、なんだけど」
「うん」
先程まであれほど逸らされていた目が、南へと向いている。
ほんのり赤い顔で普段の流暢な喋りも見せず、彼が何を言おうとしてくれているのか。
それが伝わったからこそ、南も静かに言葉を待った。
職場では色気のない格好をしていても、人並みにお洒落をすることに興味がない訳ではない。
自分で選んで用意した水着をラビに褒めて貰えるのならば、嬉しいことだ。
「なんつーか凄く………えろい」
「…頭良い癖になんでそんな言葉しか出ないかな」
しかし良くも悪くも、それはどこまでも彼らしい褒め言葉だった。