第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「さー南の水着姿はどんなん…」
海を提案したのは、何も涼しむ為だけではない。
これならば南の水着姿も拝むことができると踏んだからだ。
普段は露出の高い服装などしない南の肌が拝めるのならば、リーバーが共にいたって構いやしない。
しかし、わくわくと期待の込めた笑顔で迎えたラビの声は唐突に萎んでしまった。
「………」
「ら、ラビ?」
太陽の光に晒されているのは、滅多なことでは見られない南の素肌。
そこに纏っているものは白黒のモノトーンなエスニック柄ビキニ。
腰に巻かれてあるイエローからオレンジ、ブルーへとグラデーションある透け感パレオが、色鮮やかで目を惹く。
アップにまとめた髪にもパレオと同柄のバンダナリボン。
大人びたシルエットだが頭のリボンは愛らしさも加え、アジアンらしい雰囲気が日本人の南には何かと似合う。
「何、黙り込まないでよ…怖い」
「………」
「ラビってば」
にこにこと振り撒いていたラビの笑顔が固まる。
笑顔のまま何も発さないラビに、南は恐る恐る声を掛けた。
しかし反応はない。
「だんまりはやめて」
「…!」
「え、何。なんで顔背けるの」
「…っ」
「何その震えは!似合ってないなら正直に言って!その方がダメージ少ないから!」
「む…ムリ(やべぇ色っぽい諸々体のラインが超色っぽい!)」
「無理って何!?こっち向いてよ!」
「ムリ!」
「…雪ちゃん…ラビくんの顔が真っ赤」
「うん。幸せそうだからそっとしておいてあげよ」
知らぬは当事者の南だけ。
普段はチャラけてスキンシップも当然のラビだが、本命相手となるとこうも初心に変わるのか。
面白いものが見られたが邪魔するは野暮だと、雪は椛に笑いかけた。
「おー、やっと南も来たか…って、」
「あれ南?」
「ほー。変わるもんだなぁ」
ビーチで一足先に童心へと戻っていた科学班の面子も、ラビと騒ぐ南の姿に目を止める。
女性の方が圧倒的に少ない職場で物珍しさもあるのだろう。
普段から女というものを全面的に押し出していない南を知っているからこそ、まじまじと興味深く見やる。