第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
「皆って…みんな?」
「そう。皆」
「まじすか室長…!」
「大真面目さ」
「いやっほぅ!休みだー!」
「じゃあ壊れた発電機は誰が直すんですか」
「それはホラ、あれ。コムリンEXにでも」
『ゴ主人ノ為ナラナンデモスルヨッ』
「何また復活させてんスかそれ!」
ゾンビウイルスにて巻き起こった旧教団本部壊滅未遂事件。
その時にはちゃめちゃに登場したのが、この人型コムリンEXだった。
頼りになるのかならないのか、足を引っ張っていただけのような気もする。
尤もな意見だったが、顰めっ面で反対しているのはリーバーだけ。
他の科学班面々は目を輝かせてコムイを見つめている。
急に齎される休日など甘美な褒美だ。
目の前にぶら下げられた褒美にありつかずしてどうする。
「やったさ…!これで遊びに行ける!なっ南っ」
「待って、私ラビと遊ぶ約束してないけど」
「今からすればいいだろ?」
「そんなことできないよ。リーバー班長は残るみたいだし…」
心配そうな目でリーバーを見つめる南に、ラビの顔がむすりと拗ねる。
南のリーバーを慕う気持ちは知っているが、面白くないものは面白くない。
そしてこのままだと南も一日仕事漬けになってしまう勢いだ。
「じゃあ南が説得して来いよ」
「え?」
「南の言うことなら、はんちょも聞くから。このままじゃ一人で全員分の仕事する羽目になるぜ?他の皆は休む気満々みたいだし」
背に腹は替えられない。
南を休ませる為にリーバーも必要なら、甘んじて受け入れよう。
「一日くらい休んだって罰は当たんねぇさ。寧ろ休むべきだろ、科学班は」
「……わかった」
リーバーを慕う南の気持ちを後押しすれば、すんなりと彼女の足は上司の下へ向かった。
「絶対認めませんから、俺。コムリンEXなんかに任せてたら」
「リーバー班長」
「…南?」
呼ばれて顰めっ面で振り返ったリーバーは、其処にいるのが南だと認識すると途端に額の青筋を止めた。
見下ろす彼女は、何か言いにくそうにしながら手元を握り締めている。