第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
コムリンⅣの熱風恐怖からは逃れられたが、巻き込み事故のように教団内の発電機も爆破されてしまった。
黒の教団全ての電力を担っていた科学班屈指の出来である素晴らしい発電機が、だ。
故に残された僅かな電力は、何よりも守らなければいけないイノセンスの原石が眠っているヘブラスカの広間と、新鮮な食材を保管している食糧庫のみに向けられていた。
この三日間、シャワーの代わりは濡れたタオルで体を拭いて小綺麗にすることだけ。
エアコンや扇風機もまともに使えない状況で過ごしている。
自然風でさえ太刀打ちできない真夏の暑さの中で、ついに雪は根を上げた。
「もう駄目だ」
「あ?」
「ユウ、行こう」
「行くって何処に」
「此処より涼める場所」
沈んでいた体を上げると、いそいそと着替える雪の目に迷いはない。
ベッドの上で胡座を掻いたまま、神田は行き場を失った己の熱に溜息をついた。
どうやら今回はお預けのようらしい。