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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第13章 ※◇◆Summer to spend with you.



目の前で体を求めてくる雄の顔をした神田が、ぼやけて見えるのは涙か汗か。



「ユ…も…っ」



堪らず切なげに呼び掛ければ、更にじゅぷりと蜜部で音が立つ。



「イキそうか」

「ぁ…っあ、」

「いいぜ、イ」

「あっつい!!!!!」






「…………あ?」






ぽた、と愛液とも汗とも取れる体液が神田の指を伝い落ちた。






「…今なんてった」

「暑い。死ぬ」



被さったまま動きを止める神田に、ぐったりとベッドに沈む雪から漏れたのは切実な悲鳴だった。



「もうムリ…これ以上シたら暑さで頭ショートする…」

「お前な…このタイミングで変なこと言うんじゃねぇよ」

「だって死ぬから…寧ろ平気な顔してるユウが凄いから」

「俺だって暑い」

「説得力ない」



汗塗れの腕を伸ばして、被さる神田の体を押し返す。
弱々しい力だが抗う雪に、不機嫌な顔はしたものの神田は渋々と身を退いた。
暑さ故か、まぐあい故か。
全身に汗粒を浮かせ真っ赤な顔をしている雪は、確かに今にもショートしそうだ。



ジーワ、ジーワ、と蝉が鳴く。



「体中べたべたする…」



相変わらず窓の外からは虫達の合唱。
会話でさえも邪魔する音色は、最早騒音でしかない。
更に体感温度はぐっと上がり、くらくらと目眩がする。
朧気に視界が霞んでいたのは、まぐあいの所為だけではなかったようだ。



「ならシャワーにでも行け」

「無理だよ…今電力はヘブラスカと食堂だけに使われてるんだから。大浴場は全部停止してる」

「チッ、誰だ発電機ぶっ壊した奴」

「コムリンⅣ。を、貫いた何処かの誰かさんの界蟲」

「………」

「だからユウは文句言えないの」



猛暑と呼ばれる真夏日和が続く中、少しでも仕事を快適にしようとエアコン型コムリンをコムイが開発したのが、事の発端だった。
最初こそ快適な空調を皆に送り届けていたが、エアコンの使い過ぎか元から暴走する運命だったのか、プログラムに支障をきたしたコムリンⅣは突如熱風を撒き散らしながら暴れ出したのだ。
この茹だるような暑さの中で熱風など吹かれては堪らない。
慌てふためく教団内で、修練帰りに出会した神田が六幻でコムリンⅣを破壊したのが、つい三日前のこと。

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