第13章 ※◇◆Summer to spend with you.
ジーワ、ジーワ、と蝉が鳴く。
「…っは…」
窓から差し込む、目に眩しい程に強い日差し。
カーテンで遮り作られた陰の中で、交わる肌が二つ。
零れる熱い彼女の吐息は、合唱のような蝉の音に掻き消されていく。
聴覚から伝わり体感までも熱くさせていくようだ。
それは果たして窓の外から響く虫達の合唱の所為なのか。
「…しょっぱ」
それとも汗を舌で拭う、彼の行いの所為なのか。
「いつもより汗の量が多いな」
「だって…ん、暑いんだもん…」
被さってくる筋肉質な体。
左肩に呪符の禍々しい跡は刻まれているものの、他には傷跡など一つもない綺麗な肌だ。
程良く引き締まったそこに浮かぶ、筋肉の形。
(なんか、目眩がしそ…)
陶器のような肌に伝う汗粒は煌めいて見えて、雪はぼんやりと目を細めた。
まるで彫刻のようだ。
ジーワ、ジーワ、と蝉が鳴く。
首筋に埋まっていた神田の顔が、鎖骨を伝い胸へと下りていく。
胸の突起に唇が触れれば、いつもより熱く感じる舌がぬるりと絡まる。
「…ンっ」
ぼんやりとした思考回路に熱が加わる。
快楽を認めて体に信号を送り出す。
「汗のお陰で、濡らさなくても充分か」
「ふ、ぁ…そんな、ことない」
「じゃあなんだよ。暑さ関係なく濡れてたってことか?一人で」
「っ…一人じゃない、よ…ユウがそうやって触るから…」
「どうやって?」
「そう、やって…あっ」
熱い舌は胸の先に、長い指はししどに濡れた花弁の奥に。
雪の蜜部にするりと潜り込んでくる指は、良い所を知っているかのように的確に刺激を与えてくる。
濡れた粘膜の内側を指の腹が押しては掻き上げる。
その様が堪らなく気持ちいい。
「雪」
掠れた声で熱く名を囁かれる。
それだけで体温が上昇する。
さらりと重力に従った長い黒髪が、雪の汗に塗れた肌に落ちた。
「っは…ん、ぁッ」
ちゅぷ、と掻き回される蜜部から溢れる水音。
神田の指と舌で押し上げられていく快楽が、体の自由を奪う。
手は自然とシーツを握り締め、腰は震えながらも浮いた。