第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
ず、とゆき摺り入ってくる熱いモノが、私の中で主張する。
「ふぁ…っんく、」
ずく、ずく、と。
私の体の奥底まで入り込んでくる。
その主張は大袈裟じゃないけれど確かなもので、堪らず熱い吐息が零れ落ちた。
「はぁ…痛く、ない…?」
同じに熱い吐息を零しながら、腰の動きを止めたアレンくんが優しく問い掛けてきた。
ぴたりとアレンくんの腰が太腿に当たってるのがわかる。
あ…ぜんぶ、私の中に入っちゃった…。
「ん…痛くないよ…大丈夫」
異物感のようなものはあるけど、痛さはない。
それよりもアレンくんを私の中に受け止めることができたことに、なんだか凄く胸がじんとした。
やっと、ひとつになれた。
その幸福感に包まれて。
「全然、痛くないよ」
鼻の奥がツンとする。
その感情のままに微笑めば、アレンくんの綺麗な瞳が見開いた。
「椛っ?」
慌てた声で、私を呼んで。
何?
「う、嘘は駄目ですよこんな時に…っ泣いてるじゃないですかっ」
「え?」
涙?
…あれ。
「ほん、とだ…」
じんわりと両目を包み込む雫の膜。
鼻の奥がツンとした感覚は、本物だったんだ。
「やっぱり痛い?一度抜いた方が…っ」
「! 待ってッ」
忽ち青褪めるアレンくんが本当に腰を退きそうになるから、慌てて強く目の前の腕を掴んだ。
「違うのッ嬉しくてっ」
「へ?」
「アレンくんと、やっとひとつになれたんだって思えたら、凄く嬉しくて。涙が勝手に出たみたい」
嬉しくて泣くだなんて、なんだか凄く久しぶりな気がする。
私、やっぱりアレンくんのことをそれだけ…ううん。
わかってたことだ。
それだけ、アレンくんに抱いていた想いの強さなんて。
ずっと前からわかってたこと。
「ずっと、こうなれたらいいなって思ってた…ずっと、アレンくんとのこの瞬間を夢見てた。だから、嬉しい」
夢で見たより、現実は翻弄されるようなことばかりだったけど。
でも夢で見たように、世界の全てが眩しく映る。
それだけで心も体も満たされる。
…気持ちよさの前に感動してしまうなんて、
「変、かな」
今更ながら自分の台詞に恥ずかしくなって、照れ隠しに笑ってしまった。