第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「………」
「…アレンくん?」
だけどアレンくんからの反応は一切なくて、不安が先立ち呼びかける。
「アレ──」
「…っ」
呼びかけて、見えたのは。
頬を赤く色付かせたアレンくんの…雄の、顔。
「ごめん、椛」
「え?──あッ」
私の中に納まっていた異物感が、蠢き主張する。
内壁を擦り上げられて思わず高い声が上がった。
「アレ…ん…ッ!」
「変じゃない。僕も嬉しい…っこれで椛は僕のもの、だから」
「ぁ、あッ」
「だから、ごめん、止められない…っ椛がそんな可愛いこと言うからっ」
乱暴な動きじゃないけど、確かな力で揺さぶってくる。
私の体と心を掻き乱す、アレンくんの熱い芯と上擦った熱い声。
「ぁ…謝らなく、ていいから…ふぁ、んッ」
体を一突きされる度に揺さぶられて、目元に溜まっていた涙が頬を滑り落ちた。
「止めないで…っ一緒に、気持ちよく、なりた…っ」
「っ痛く、ない?気持ちいい?」
「いいよ、気持ちい…ぁッはンっ」
律動は止まない。
熱い塊で私の中を擦り上げられながら、荒い息遣いで問い掛けてくる。
私を求めて欲を見せてくれているのに、紡ぐ言葉はいつものアレンくんと同じ優しいもの。
そのギャップというか、初めて見るアレンくんの姿に、体は勝手に高揚した。
もっと求めて欲しい。
もっと一緒に気持ちよくなりたい。
気付けばアレンくんの体を求めて両手は白い背に縋っていた。
密着して感じる熱い体温や汗ばんだ肌。
その一つ一つアレンくんを象るパーツにも心が打たれていくようだ。
「僕も…っ凄く、気持ちいい」
「んッうれ、し…っ」
上擦った声で、色気も垣間見えるアレンくんの声。
普段じゃ絶対に聞けないその声になんだか嬉しくなる。
でも私の声は喘ぐばかりできちんと言葉にならない。
それでも私の気持ちを汲み取るかのように、優しく微笑み掛けてくるアレンくんに堪らなく胸が熱くなった。
心と体。
そのどちらもアレンくんの熱に翻弄されて、高みへと昇っていく。
乱暴じゃないのに、力強くて。
とめどない熱を押し付けてくるのに、優しくて。
アレンくんと繋がった所から広がる快感が、波のように全身を襲ってくるようだった。