第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「もう、充分だから…」
汗の滲んだ両腕を、アレンくんに伸ばす。
興奮、してくれてるのかな…薄らと赤みを増してる白い肌を捕まえるように、両手を背中に回した。
…お互いに裸で抱き合うのは、初めてだなぁ、なんて思いながら。
そんな些細なことにも胸がきゅんとする。
絹のように真白で綺麗な、だけど沢山の傷を背負った、強くて逞しい身体。
この身体が、
「欲しい」
思わず口から零れ落ちた。
触れたアレンくん肌が、一瞬反応を示すように震えたのを感じる。
「アレンくんが、欲しいよ…ひとつに、なりたい」
アレンくんが私を欲してくれてるように、私もアレンくんを強く欲してるの。
大好きな人の心と体、両方欲しい。
ぜんぶ、私のものにしてしまいたい。
「だから、もう、私だけ気持ちよくさせないで」
「…っ」
せがむような声で乞えば、ぱっと顔を上げたアレンくんと目が合った。
「それ、反則です…っ」
間近に見えた銀灰色の綺麗な目の奥に、揺らめく炎のようなものが見える。
現実にはそんなものアレンくんの瞳に映っていなかったかもしれないけれど、私にはその時はっきり見えた。
アレンくんの、欲望の形が。
「もう止められないから」
いいよ、止めなくて。
そう応える前に、密着した下半身に硬く主張してくるものを感じた。
ガチャリとベルトのバックルを外す音。
視線を下せば、アレンくんの手がズボンを──…あ。
み、見えちゃった…アレンくんの、ぉ、雄、の部分。
思わず顔が熱くなる。
こんなに綺麗な顔と白い肌をしてるのに、しっかり脚の付け根でいきり立ってるそれは、間違いなく男の人にしかないもの。
「脚、上げます。痛かったら言って」
「ん…」
どこまでも優しいアレンくんだったけれど、その声は上擦っていて余裕の色は見えなかった。
赤黒い左手が私の片腿を持ち上げる。
ぐずぐずに濡れた秘部の口に当てられる、熱いモノ。
不思議と怖さはなかった。
それ以上にアレンくんを欲してたから。
「───椛」
「ぁ、あ…っ」
合図は熱いアレンくんの呼び声。
同時に熱くて硬いモノが、私の中に潜り込んでくる。
ゆっくりとだけど止まらない侵入に、体が痺れた。