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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】







アレンくんの指が、唇が、舌が、私の体に触れてる。
それも凄く恥ずかしい所に。



「ぁ、ふ…っ」



熱い舌の愛撫を感じる度に、ぴくりぴくりと肌が跳ねる。
恥ずかしい。
のに、止めて欲しくない。

だって、やっと触ってくれたから。
"男"だと主張するアレンくんを、独り占めしたかった。

飽きもせず私の胸に寄せていたアレンくんの顔が、不意に上がる。
見下ろしてくる銀灰色の綺麗な瞳は、変わらず綺麗な色をしていたけど…なんだかいつもと違う。
上手く言えないけど、ノアと対峙した時と少し似てるような。
穏やかなアレンくんの中に垣間見える、闘争心みたいな…強い炎。

その目から視線を離せずにいれば、徐にアレンくんの肌が露わになった。
着ていたシャツを脱げば、白人特有の真っ白な肌が灯りに照らされる。
でも私の目を奪ったのは、その白さだけじゃない。
肩から胸を通り、お腹まで大きく抉るように残る大きな傷跡。
赤黒い左腕もアレンくん特有のもので目につくけど、それ以上に体のあちこち至る所に残された戦争の傷跡に目は止まった。

でも。

目を奪われたのは、痛々しい身体をしていたからじゃない。
今までの聖戦で苦難を乗り越え、仲間と共に成長し、強いエクソシストと成ったアレンくんが其処にいたから。



「…椛?」

「うん」

「そんなにじっと見られると、少し照れるんだけど…変かな?」

「ううん。恰好良いなぁって思って」



出会ってから今までのアレンくんを思い出して、なんだかじんとしたの。



「っ…またそういうこと言う…」

「え?な、なぁに?私、可笑しなこと言った?」

「いいえ。そうやって不意打ちに剛速球投げてくる椛の言葉、僕好きですよ」

「え。え?」



剛速球?
そ、そんなに凄いこと言った覚えはないんだけどな…。



「だから僕も見習います」



不意ににっこりと笑うアレンくんの表情。
あ…この笑顔は、時々ラビくん辺りに見せている笑顔。
あんまり良いことを考えていない時のアレンくんだ。

なん、だろう。

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