第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「そう、かな…こうなるとは思ってなかったから、ちゃんとした下着用意できなかったし…」
両手を胸元の前で握り合わせながら、ぽそぽそと椛が自信のない声を零す。
寧ろ、これでちゃんとした下着じゃないって。
凄く可愛いのに。
じゃあちゃんとした下着ってどんなものなんだろ…気になる。
「可愛いですよ?見てて凄くドキドキする」
気にはなったけど、今言うことじゃないと思ったから先に進めることにした。
淡い水色の花柄模様。
だけど胸の前で握る椛の両手が邪魔をするから、そっとそれを解かせた。
「だからもっと見せて」
「っ…ん」
照れながらも従ってくれる椛の姿に、目が離せない。
パステルカラーに右手で触れれば、椛の目線は逃げるように逸らされた。
本当、いちいち反応が可愛い。
初めて触れた椛の胸。
下着の上からでもその柔らかさが伝わってくる。
慎重に扱いながらもゆっくりと弾力を味わっていると、椛が言い難そうに口を開いた。
「ア、アレンくん…ブラ…ワイヤーが当たる、から…」
「え?あ、ごめんッ?」
「ううんっだから、その…」
「じゃあ、外してもいい?」
「っ…ぅ、うん」
今まで椛以外とそんな関係になったことないし、師匠が師匠だからそういう類は昔から少し苦手だった。
でも知識がないって駄目だな。
少し反省。
急いで手を離して、椛の体を緩く抱きしめる。
そのまま背中に差し込んだ手で下着の留め具を外せば、椛の視線を感じた。
なんだろう、まさかまた痛かった?
「痛いところ、またありました?」
「ううん。それはないけど…アレンくん、なんか…手際いいなって…」
「え?へ、変?」
「変、じゃないけど…」
手際の良さは、100%師匠の所為です。
あの人、僕の存在なんて無視して部屋に愛人連れ込むから。
子供の僕がなんで気を利かせなきゃいけないんだって思いながら、毎回部屋を空けてたっけ。
それでも壁越しにあられもない声が聞こえて睡眠不足になったり…駄目だ思い出してきたら気分悪くなる。
とにかくそこで色々見せられてきたから。
凡そ子供が見ちゃいけないものまで。
…弟子に悪影響を及ぼす師だったと思う、本当。