第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「───……椛…顔、背けないで」
「ん、ん…うん…やっぱり、ちょっと、恥ずかしくて…」
それからは、自分でも驚くくらいに体は勝手に動いた。
椛とは数えきれないくらい唇で触れ合ってきたのに、その奥までは味わったことはない。
柔らかくて、温かくて、なんだか甘い。
椛が夢中になって頬張っていた、あの時のスイーツケーキを食べてるような気分だ。
甘い舌に吸い付いて、絡め合った唾液を飲み込む。
浅く息を零しながら、反射的に逃げようとする椛だから。
退け腰を捕まえて、そのままベッドに沈めた。
「そういう所も、ぜんぶ可愛い。だから遠慮なく見せていいですよ」
「っ…アレンくん、か、からかってる…?」
「とんでもない。全部本音ですから」
上から頭を抱くように囲って、赤い顔の椛を見下ろす。
「椛の全部が見たい。…いい?」
皆まで問わず、滑らせた右手で椛の寝間着のボタンに触れた。
ワンピースのような薄くて可愛いパジャマみたいな…なんて言うんだっけ?これ。
とにかくこの姿も別の意味で凄く可愛くて、椛が泊まりたいって言う度に欲を理性で押し込んでた。
「…ん…」
椛から具体的な返事は聞けなかったけど…これは、いいってことかな?
軽く触れるキスを落としながら、小さな花の形をしたボタンを外していく。
結構難しいものかと思ったけど、ギャンブルで培った何度もイカサマを熟してきた僕の指は、あっさりと作業を進めることができた。
…この時ばかりは、過去のギャンブル経験に感謝かも。
「…ぁ…」
最後のボタンを外すと、自然と重力に従いシーツに落ちていく薄い布が、椛の肌を露わにする。
か細い椛の声が、その儚い体を音で表しているかのようだった。
白い肌。
細いくびれ。
どこもかしこも柔らかそうな曲線を帯びていて、柔らかな二つの丘を作る胸元を包むはパステルカラーの淡い下着。
初めて見る椛の儚い姿に、思わず喉を嚥下した。
「…綺麗です」
堪らず呟く。
「凄く、綺麗」
だって本当に綺麗だったんだ。