第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「結果としてって言うなら、結果としてアレンくんは私をノアから助けてくれたし、安心させてくれた。こうして一緒にベッドの中にいて凄くドキドキするのに、こうして触れられてるとほっと安心もするの…それはアレンくんにしかできないことなんだよ」
相反する感情を同時に持たせて、私に恋させてくれる。
それはアレンくんにしかできないことなのに。
そういうこと、伝えてたはずなのに。
アレンくんが愛の言葉を沢山くれるように。
私も、アレンくんのことが大好きだって想い、言葉に変えて伝えてた。
はず。
なのに。
「なんでいつも悩んだり困ったりすると、一人で解決しようとするの…?なんで私に相談してくれないの…」
「…椛…?」
そういう思いを、多分、アレンくんはずっと抱えていたんだろう。
もしかしたら…私が告白した時から、だったかもしれない。
半年間も、そんな思い……なんで。
「私は、そんなに、頼りにならないかなぁ…」
「椛…っ」
自分の情けなさとか、アレンくんへの想いとか、色んな感情がごちゃ混ぜになって堪らなく目頭が熱くなる。
視界が今度は一層と水滴の層で遮断されて、アレンくんの顔は全く見えなくなった。
見えなくなったけど、焦る声で慌てていることはわかる。
でも、私は、それどころじゃなかった。
「アレンくんのそういう所…好きだけど…私、きらい…」
「っ」
「私って、そんなに、信用ならない…?…私は…アレンくんのこと大好きだけど…それって、私だけ…?」
不安は、本当は、ずっとあった。
私から想いを告げた後、一週間の間、きっとアレンくんは沢山悩んで答えを出してくれた。
私と生きるという選択肢は、もしかしたらアレンくんの優しさから出た結論なのかもしれない。
それでも…嬉しかった。
想い馳せる人と、共に歩める人生が。
だから私もただアレンくんの隣でにこにこ笑っているだけの女の子にはなりたくないの。
雪ちゃんのように、相手を受け入れる大きな器を持って。
南さんのように、相手を心から思いやれる心を持って。
そうして、大好きな人と支え合っていきたいのに。
…他人とそんなふうに比べても、良いことなんてない。
でも、見えてるものが、不安なの。