第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
まるで私の心を汲んでくれているかのようなティムの姿。
───あ、だめ
張り詰めていた糸が、切れるような気がした。
「…っ」
目の前にいるティムを抱き込む。
力加減なんてしていられず強く抱いたのに、ティムは大人しく擦り寄ってくれた。
その優しさに、目の前が微かに滲んだ。
「ふぇ…っ」
心の奥底がじんわりと熱くなる。
体が震える。
微かな吐息のような声が、鳴いた。
「…椛?」
…やっぱり。
アレンくんが気付かないはずがない。
そして、優しい彼のことだからきっと見逃さない。
後ろから伺う心配そうな声に、私はぎゅっと唇を結んだ。
「もしかして、寒い?」
ふるふると首を横に振れば、もそりと起き上がる気配。
触れていた背後の体温が離れる。
「じゃあ、どうしたんですか?」
枕元の小さな照明に明かりが灯る。
少し覆い被さるようにして顔を伺ってくるアレンくんに、尚の事、強くティムを抱きしめた。
「…アレンくん…」
恐る恐る枕に寄せてた顔を上げて、アレンくんと向き合う。
呼んだ声は、思った以上に震えていた。
ほんのりとオレンジ色の灯された明かりの中で、見えたのは驚いた顔で見下ろしてくる顔。
「え、何…っどうしたんですかっ?やっぱり怪我でもしてたっ!?」
「違う、の」
慌てた様子で、私の体を急いで抱き起してくる。
そんなアレンくんの優しさも大好きな所の一つだけど、今は。
それより、ちゃんと言葉にしなくちゃって。