第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「ううん、アレンくんの所為じゃないよ。アレンくんは悪くない。困ってた人を助けたんでしょう?良いことをしてあげたんだから」
寄付の受付場に向かう途中で私を見失ったアレンくんは、必死に捜してくれたらしい。
だけどその途中で、不運事が多いアレンくんらしいというか、道に迷ったお婆さんと出会ったらしく。
家族の下まで送り届けてあげたのだと、帰りの道中聞かせてくれた。
アレンくんが困っている人を見過ごせない性格なのは、よく知っている。
それにそのお婆さんはアレンくんのお陰で家族と楽しいクリスマスを過ごせるんだろうし、良いことだから。
責める気なんて全くないよ。
…ただ、一つだけ。
「だから、その……もうお出掛け、しないの…?」
「ああは言ってましたが、またいつノアに狙われるかわかりません。教団にいた方が安全だから」
特別な夜を特別な場所で。
それはアレンくんの選択肢から外されてしまったらしい。
私の身を親身に心配してくれているからこその、気遣いだってわかってる。
わかってるけど…折角の、特別な夜だったのに…。
「色々椛も疲れただろうし、部屋に戻ろう。風邪を引きます」
「…うん…」
アレンくんに優しく促されて、門を潜る。
この様子だと…きっと私の体を抱こうとはしないんだろうな…アレンくんのことだから。
自分の都合や欲より、きっと私の心を大切にする。
それがわかってたから。
「ね、ねぇ…アレンくん」
「はい?」
でも、私の心は。
「…今日、泊まっていってもいいかな…」
私の心が向いている先は───
「一緒に、いたい」