• テキストサイズ

廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】



「………」



驚いたような、呆けたような。
そんなぽかんとした顔で見上げてくるアレンくん。
急な彼の硬直に思わず首を傾げる。
どうしたんだろう?急に固まって…あ。



「っ…!」



固まったかと思えば、じわわっとアレンくんの顔を覆う赤い熱。
目を逸らすように勢いよく俯くアレンくんに、今度は私がぽかんとする番だった。



「ア、アレンくん?どうしたの?」

「椛…今そんなこと言うのは反則です…色々と…」

「言う?って何が……あっ」



もしかして心の声でも出てた…っ!?



「わ、私声に出して…っ」

「うん。思いっきり」

「えぇえ…!」



は、恥ずかしい…!



「ご、ごめんなさいっ忘れて今のッ」

「無理ですよ…そんな笑顔で言われたら…」

「そんなこと言わないでぇええ!」



本当に忘れて!
お願いだから!



「……なぁワイズリー。俺ら何見せられてんの…?」

「大方、胸キュンたっぷり甘酸っぱさ混じる恋愛ドラマじゃろ…」

「にしちゃ状況が見合ってねぇよ…」

「アクション付きのドラマだのう…凝っておる」



カッカと湯気を出す顔を両手で覆っていると、不意に深い溜息が落ちてきた。



「はぁ…なんか色々気分削がれたわ。阿呆らし」

「きゃ…っ!?」



急に手首を離されて、バランスが崩れる。
だけど落下する体は速度も遅く、ぽふんっとアレンくんの腕の中に落っこちた。



「大丈夫?椛」

「う、うん」

「見てるこっちが甘さで胸焼けしそうだから、これ以上絡むのは止めとく」



すとんっと軽やかに地面に着地したティキ・ミックが、脱力気味にひらひらと片手を振ってくる。
その顔は心底うんざりしたような顔。
なんだろう…よくわからないけど、これ以上の揉め事は起こさないってことなのかな。



「嘘臭い…」

「うわー信用されてないのねー俺」

「当たり前でしょ」

「そう冷たいこと言うなよ少年。今回ばかりはな、」



そう言うと、彼の目は再びちらりと首元に巻いたショールへと向いた。
あれ、さっきも見た光景だ。



「少年とダンスすんのは楽しそうだけど、それでこれ汚すのやだし」



これって……私があげたショール?

/ 723ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp