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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第4章 ◆入れ替わり事件簿(神田)



 仕方ないなぁ…。


「よし行け、ラビ」

「ええっ!? さっきと態度違うけど!?」


 頑張れ。
 たかだかコムイ室長の実験台になるくらいだから。
 大丈夫、死にはしないよ。

 うん、きっと。


「室長ー、ラビが腕輪付けてくれるらしいですよー」

「本当かいっ!?」

「げぇっ! 何勝手なこと言ってんさ雪! 他人事だと思って!」


 すみません他人事なもので。
 面倒な室長の相手するくらいなら、兎さんを生贄に一匹差し出しましょう。

 大丈夫、骨は拾ってあげるから。
 変なことになったら、その時はちゃんと面倒見てあげるから。


「変なことってなんさ! 何か起こる前提で話すのやめてくんない!?」


 あ、また心の声漏れてた。


「じゃあ早速!」

「いやまじ勘弁! なんかコムイの目が怖ぇ!」

「うわっ! ちょ、私盾にしないでよ!」


 爛々と光る目で早急に飛び付いてくる室長に、慌てたラビが私の体を突き出してくる。
 どたばたと慌てる私達に、


 がちゃんっ


 腕輪は無情な音を立ててラビの腕にはまった。


「え。」

「あ。」

「は?」


 違う。
 それはラビの腕じゃなく、逃げ出そうとしていた私の腕だった。

 ………なんですと。


「あ、ごめん間違え──」

「たたた助けて! 外してこれ!」

「お、落ち着けさ雪! 今外して…って外れねぇ!?」

「…君達大袈裟過ぎない?」


 顔面真っ青で腕輪と格闘する私達に、コムイ室長がぱたぱたと手を振ってくる。

 いや大袈裟じゃないから!
 落ち着けませんから!
 ゾンビウイルスとか作っちゃう室長ですもん絶対何か起こるって!


「大丈夫だって。確かにエクソシスト用に作ったけど、だからって人間に害が及ぶなんてそんな──」

「ぃッ!? いだだだ!」

「雪!?」


 急に腕輪からくる痺れに悲鳴が上がる。
 見ればバチバチと腕輪から意味のわからない光が走っていて──…室長!?


「あっれー…?」


 思わず室長を凝視すれば、タラリと汗を流して笑われた。

 いやちょっと。

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