第4章 ◆入れ替わり事件簿(神田)
「それに僕は用事があってここに来たんだよ」
「用事?」
「ふっふっふ…それは君にさ、ラビ!」
「へ? オレ?」
ばちこんっとウィンクしながら、コムイ室長が徐に懐から取り出したのは……腕輪?
「君、アクセサリー類付けるの好きだろう? そんな君の為に、イノセンスの力を増幅させる腕輪を作ってみたんだ。どうだい?」
「「……」」
「だからその目やめてくれるかな」
だって…胡散臭い。
確かに室長はコムリンみたいな機械を一人で造り上げちゃう人だから、その腕前は確かだけど。
それ以上に頭のネジが色んな方向に飛んじゃってる人だから。
こんな雑談混じりにそんな戦闘で大事な物、持ってくるかな普通。
リーバーさんとかが一緒に説明でついてくれているなら、説得力あるけど。
「大丈夫だって! 確かにまだ試作品だけど、アレンくんにも身に付けてもらって危害はないことは確認済みだから」
「え? そうなん?」
「…よくアレンが大人しく身に付けましたね」
「あははー」
あ、笑って誤魔化した。
これは大人しく身に付けなかったんだな、アレン。
…可哀想に、無理矢理されたんだ。
「ということで! はいラビ、腕出して」
「ええー…でもオレ抵抗あるんだけど…」
「大丈夫大丈夫、痛くない痛くない」
「逆にその台詞が怖いんだけど!」
顔を青くして今度はラビが私の体に引っ付く。
私の背中に身を縮ませて隠れるラビに、流石に可哀想だと思って盾になってあげることにした。
うん、私って優しい。
「室長それ、今度リーバーさんとか立ち合いの下でやったらどうですか。その方がラビも信用してくれると思いますよ」
「酷い! それって僕じゃ信用ならないってこと!?」
「ええ、まぁ」
「!!」
あ、室長が凹んだ。
「酷いよ雪くん…僕は戦場で大変な思いをしてるエクソシストの皆の為に、少しでも力になれたらって…そう思ってるだけなのに…」
「げ…ネガティブモード入ったさ…」
「…ああ、もう」
メソメソと高い身長を屈めて、床を指で弄る。
そんな室長のうざ…可哀想な姿に思わず二人で溜息。