第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
「知ってたら仕事押し付けんなよな…」
「それはすまなんだ」
「悪気の無い顔で謝られても胸糞悪いだけだ。こっち見んな」
「相変わらず手厳しいのう…」
「うっせ…ぶえっくしゅんッ!!!!」
会話の内容はよくわからなかったけれど、誕生日だって言うのは本当なんだ。
…アレンくんと同じ。
恵まれない子供達への寄付活動だけど、この身形が散々な人にこそ寄付されるべきなんじゃないかなぁと思った。
青年との関係性はわからないけれど、多分、暮らしも裕福じゃないんだろう。
思わずまじまじと見つめてしまっていると。
「───ん?」
視線に気付かれてしまった。
不意に男性の隣に立っていた青年が、私に目を向けてくる。
「ほう」
驚いて何も返せずにいると、薄い笑みを向けられた。
な、なんなんだろう…もしかして変な目で見てたって、怒られるかな。
「御主に興味を持っておるオナゴがおるぞ」
「あん?」
「えっ」
かと思えば、青年が声を掛けたのは隣の男性。
そのオナゴが誰なのか、流石に私にもわかった。
待って、そんな興味なんて持ってない!
「そんな形(なり)でもモテるとは。ニクイ奴よのう」
「思ってもないこと言うなっつの」
可笑しそうにくすりくすりと笑う青年は、見た目の年齢より大人びた印象がある。
でも今の私にはそれどころじゃなかった。
勘違いさせるようなこと言わないで欲しいのに…っ
「で、俺になんか用?浮浪者見物なら余所でやってくれる」
体を震わせたまま、素っ気なく返してくる男性に罪悪感が浮かぶ。
浮浪者だって自分で言っているけれど、そういう目で見られて良い気分なんてしないはず。
「ご、ごめんなさい。そういうつもりで見てた訳じゃ…っ」
「じゃ何?」
「え、と……あの、男の子、捜してて…見かけませんでしたか?白い髪の…」
「白髪の少年?」
「ふぅむ。面白い形じゃの。見てはおらんが」
慌てて頭を下げながら、どうせだからとアレンくんのことを聞いてみればあっさりと首を横に振られた。
残念…見てないんだ…。
「そうですか…」
思わず視線が下がる。
本当に何処に行ったんだろう、アレンくん…。