第4章 ◆入れ替わり事件簿(神田)
「大体、殴られてる回数も絶対的にラビより私の方が多いし。もう何回殴られたのか、回数も覚えてないよ」
「あー…そこは否めないさな、ウン」
でしょうとも。
任務で神田と一緒の回数は、他のエクソシストやファインダーと比べても私の方が多い。
最早神田のストレスの捌け口になってないかな私。
まさかその為に組ませてるんじゃないよねコムイ室長。
そこんとこどうなんですか。
「まっさかー。女の子を神田くんのストレス捌け口要員になんて扱わないよ~」
「どぅわっ!?」
「な、なんさ!?」
まさか心の声に返事がくるとは思っていなかった。
驚き反射的にラビに引っ付けば、にこにこと笑顔を浮かべて背後に立っていたのは、この教団で一番偉い人。
「心の声、思いっきり口に出ちゃってるよ雪くん」
え、嘘。
「それより心外だなぁ。僕はそんな理由で二人を組ませたりなんてしてないよ。それに最近は別々の任務も当ててあげてるでしょ?」
「…それは…まぁ…」
「あ、寂しい? もしかして寂しい?」
「…いえ別に」
寂しくないと言えば嘘になるけど…。
にっこにっこと満面の笑みで高い身長を屈めて、顔を覗き込みながら尋ねてくる。
そんなコムイ室長のわざとらしい煽り文句に、なんとなく素直に頷けなかった。
この人がこんな笑顔浮かべてる時って、大体よからぬことしか考えてないんだよね…。
「それより室長、こんな所でのんびりしていていいんですか?」
私もラビも非番だけど、この人はこの時間帯なら仕事のはず。
フェイさんの姿も見当たらないし…上手く撒いたのかな。
「やだなー。今、休憩時間中なんだよ。ずーっと仕事漬けだったら僕死んじゃう☆」
「「……」」
「わー、二人共その目ヤメテー☆」
じゃあ語尾に☆マークなんて付けて話さないで下さい。
胡散臭い。