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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】



大きな紙袋を持っているのに、アレンくんの進む足には迷いがない。
いつだってそうなんだよね。
思いっきり道を間違えている時も迷いなく進むから、どんどん迷宮に迷い込んでしまうというか…ってそれは今は関係ないんだけどっ



「ま、待って…ッ」



アレンくんは目立つ紙袋を持っているからか、どんどんと人だかりの中を進んで行くことができたけれど、私はそうはいかなかった。
音楽を傍で聴こうとする人達に阻まれて、中々先へと進めない。
結果、どんどんとアレンくんの後ろ姿が遠くなっていく。
それでも離れても向かう場所は同じだから、そう心配はないと思っていたんだけど…私のその思考自体、間違っていたのかもしれない。



「はぁ…っ」



なんとか人混みを抜けて受付場へとやって来た。



「…あれ?」



だけど息を整えながら辺りを見渡せば、目立つ白い頭は何処にも見当たらない。
私より先に進んで行ったアレンくんだから、先に着いてるはずなんだけど…もう寄付を終えて、まさか私を捜しに行ったとか?



「いけないっ」



アレンくんは生粋の方向音痴。
一人でこんな人だかりの中を歩かせちゃ駄目だ。
慌てて受付の人に聞けば、大量の紙袋を持った白髪頭の少年は見ていないと返された。

そんな。
此処に辿り着いてもいないの?



「何処に行ったんだろ…っ」



右を見ても左を見ても、知らない顔ぶればかり。
私の前を歩いていたアレンくんが此処に辿り着いていないのなら、方角を間違えている可能性がある。
それなら此処で待っていてもアレンくんがやって来る可能性は低い。

さ、捜しに行かなくちゃ…っ






























「───はぁ…っいない…っ」



それから散々人だかりの中を捜し回った。
だけどあんなに目立つ白い頭は見当たらない。
すぐに見つかるだろうと思っていたから、段々と不安が大きくなってくる。

どうしよう、本当に何処に行ったんだろう。
優しいミアのことだから、道端で困っている人なんかを見つけたりしたら人助けでも買って出そうだけど。
それならいいけれど、もし、知らない女の人に軟派でもされてたら…っ



「ぶぇっくしょんッ!!!!」



焦る思考を止めたのは、後方から響いた大きなくしゃみだった。

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