第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
それから、真っ白な銀世界に二人の足跡を残していくように、街中を散歩して回った。
テーマパークのようにサンタさんや雪だるまのマスコットや飾りを立てて並ぶ家々を見て回ったり、上品なライトアップがされた軒下を歩いたり。
最初はちらほらと降っていた粉雪も午後には止み、明るい太陽が顔を出した。
自然と散歩する足も弾んだけれど、やっぱりお腹は満足していなかったみたいでアレンくんは途中で盛大に腹の虫を鳴らしたんだけど。
顔を赤くして慌てる姿は可愛くて、つい笑ってしまえばもっと慌てられた。
だから途中で大きなデパートのスイーツ店に寄って、子供のように目を輝かせるアレンくんに大きなパフェを買ってあげた。
特大サイズのパフェを片手に歩く、真っ白な頭の男の子は目立つから周りの視線をあちこち受けたけど、アレンくんは気にした様子なく楽し気に笑っていた。
私も、つい誇らしくなる。
初めて街中でデートした時は、目立つ白い頭を隠すようにフードを被っていたアレンくん。
何故かと問えば、自分は慣れてるけれど椛が気にしないかと、好奇な目を自分より私に向けられることを心配してくれていた。
どこまでも優しくて、そんなアレンくんの思いが胸に沁みて。
だから平気だと、アレンくんのフードを外して笑い掛けた。
寧ろ私は、誇らしい。
こんなに素敵な人が私の恋人なんだって、周りに見せつけてあげたいくらい。
…あんまり注目されたらされたで、アレンくんに惹かれる女性が出てこないか、ちょっぴり不安にはなるんだけどね。
「見て椛。あの公園、トナカイの形をしたモミの木がありますよ」
「本当、綺麗にカットされてて可愛い」
「近くで見てみる?」
「うんっ」
ぺろりと綺麗に平らげたパフェの包みを丁寧に畳み終えると、誘うようにアレンくんが視線で公園を促した。
クリスマス用なのかな、あちこち大小様々なモミの木で飾られた公園は、広いけれど視野は狭まる。
近くで見ると、大きなモミの木は迫力あるなぁ。
「あんまり気にしてなかったけど、椛と歩くと色んなものが見えてきますね…本当に世界中クリスマスだ」
「ふふ、そう? だってクリスマスだもん」
そして、
「アレンくんの誕生日もね」
私にはそっちの方が大切なんだけど。