第11章 ◆12/6Birthday(神田/セカンズ)
「あ、待ってユウ! ぼくのたんじょうび…っ」
「うるせぇな! やるなら早く来いよどん臭ぇ!」
「えっ! い、一緒に祝ってくれるのッ?」
「丹薬食うだけだ、腹減ったからなッ誰がお前なんか祝うかバーカ」
「ぬぉ…! 良いじゃないかおめでとうの一言くらい! ユウの意地っ張り!」
「んだとキモアルマ!」
「あーあーあー、また始まった…」
「飽きないよなぁあの二人…」
「あはは、喧嘩する程なんとやら、だよ」
「笑ってないであんたら早く止めといで」
「「「え」」」
ぎゃあぎゃあと喚きじゃれ合う二人の使徒の後に慌てて続く、白衣姿の研究員達。
その背後を一人静かについて歩くトゥイの顔には、柔らかな笑みが微かにだが残されていた。
セカンドエクソシストという、生まれながらにして聖戦の駒となり戦いに身を投じる使命を背負わされてしまった二人。
それでも彼らなりに前を向いて進もうとする姿を垣間見ることができたから。
不器用なりにも少しずつ、真っ直ぐな心を持って迷いなく。
それは他の誰でもない、アルマとユウであったからこそできた絆だろう。
(願わくば、この安息の日があの子達に少しでも続くように)
願わずにはいられない。
乞わずにはいられない。
独りでは立ち続けることさえ困難だった実験となり枯れていった使徒達。
しかしあの二人ならば、共に未来へと歩み進められるかもしれない。
(私達の"希望"だ)
聖戦の希望ではない。
人として生きる上での、未来を抱えた子供達。
その限りない"希望"なのだ。
ユウがアルマを破壊するに至ったのは、それから二週間程後のことだった。