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廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第11章 ◆12/6Birthday(神田/セカンズ)



「ユウゥウ~! ぼくもユウが大好きッ!」

「っんなこと言ってねーだろ!? くっ付くな馬鹿!」

「ぃだッ!」


 柱から飛び出してきた小さな体が、弾丸のようにユウに飛び付く。
 瞬間、怒り任せの拳がごつん!とアルマの頭に落ちてきた。
 否、怒りと言うよりも照れ隠しと言ったところか。


「流石支部長、あの子鬼ユウの扱いに慣れてらっしゃる…っ」

「あはは、私の奥さんだからねぇ」

「ハイハイ。だらしない顔になってますっスよ、エドガー支部長補佐」


 ぎゃあぎゃあと喚くユウ達を見守る研究員達も、こぞってやって来ていたのか。
 じゃれ合うと言うよりは揉みくちゃに喧嘩(主にユウから一方的に)しているようにしか見えないが、彼らには温かい光景に見えているらしい。
 それは今までそんな触れ合いさえもしてこなかった、過去の二人を知っていたからこそ。


「よし、これで必要な面子も揃ったことだし。改めてアルマの誕生日会をしようか!」

「わーい! やったぁ!」

「はっ!? 待てエドガー! 俺は参加するなんて言ってない…!」

「でもユウ、ぼくのこと好きなんでしょ?」

「だから好きなんて言ってねぇだろ! 勘違いすんな!」

「またまたぁ照れちゃって♪」

「それ以上ぬかすと脳天カチ割るぞ…!」

「お、おぉ待て待てユウ落ち着け。折角だし! な!」

「今日の丹薬は甘いんだぞ! いつものより美味いから! 丹薬ケーキ!」

「甘いもんなんて嫌いだ!」

「えぇ!? そうだったっけ!?」

「エドガー補佐、ユウ甘いもん駄目ですってよ!?」

「あれぇ~…子供は皆甘いもの好きなのかと…」

「理由単純かよ!」


 エドガー達研究員も混ざれば更に膨れ上がる騒動に、やれやれと腰を上げながら溜息をついたのはトゥイ。

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