第11章 ◆12/6Birthday(神田/セカンズ)
此処は黒の教団"アジア第六研究所"。
第二使徒という人造使徒を人の手で造り上げる為に設備された、深い深い地下の檻。
其処で生まれ其処で育ったアルマとユウは、一度も外の世界というものに触れたことがない。
知っている知識は全て、本で読んだり人から聞いたものでしかなかった。
だからこそ強い興味が湧く。
それでも会話に入ってこないユウの姿をちらちらと盗み見ながら、アルマはこっそりと息を呑み込んだ。
「それにね、ユウ。フユは楽しいことがいっぱいあるんだよ」
「はぁ? 楽しいこと?」
「うん! クリスマスでしょ、お正月でしょ、」
「しらねー…なんだソレ」
「ユウは初めてだもんね。ぼくは二回目だから」
ユウより一年先に生まれたアルマにとっては、迎える二度目の冬。
しかし一度目と違うのは、隣に彼がいること。
それがアルマには嬉しくて堪らなかった。
「あのね、ユウ」
「あ?」
「ぼくはフユと一緒に生まれたんだよ」
「?…だからなんだ」
「だから、ね。だから…」
「?」
そわそわと両手の指先を握り直しながら、歯切れ悪く言葉を濁す。
そんなアルマの態度に若干の苛立ちを感じつつ、ユウは眉を潜めた。
「んだよ、はっきり言え」
「あの、あのね。だから──」