第9章 ◆はなむけの詞を君に(神田)
それでも、彼への想いを抱えて生きる道を歩んでいこう。
初めて自覚した時からわかっていた。
この想いは消えることはない。
彼と別れ、別の道を歩み、新たに愛する人を見つけたとしても。
きっとこの想いは別に在り続ける。
彼の為だけに燃やし続ける、心の一部だ。
「愛してるよ、ユウ」
目を閉じる度に、眠る時間は途方もなく長くなっていく。
目を開く度に、目覚めている時間は驚く程狭まっていく。
一日も起きていられなくなった彼は、次に目覚めることはないかもしれない。
静かに予兆もなく、落ちていくように眠りにつく。
その様を見る度に、死へと誘われているように見える。
だからこうして、その度に告げるのだ。
「…おやすみなさい」
最期の詞を。
*はなむけの詞を君に*
(さよなら いつか)