• テキストサイズ

廻る世界の片隅で【Dグレ短編集】

第8章 ◆Tresor(神田/マリ×ミランダ)



「はぁ…やっと着いた…」

「すまなかったな、ミランダ、雪」

「ううん、なんてことないわ。マリさん達が無事見つかってよかった」

「そうだよ、マリは悪くないから。マリはね」

「んだよその言い草は」

「…別に」

「別にって顔してねぇだろ。言いたいことがあるなら言え」

「お、落ち着いて神田く…」

「貧弱女は黙ってろ!」

「ひぃいッ! ごめんなさいぃい!」

「だから貧弱言わないの!」


(おや)


 元々世界遺産で賑わっている場所だが、ティエドールの耳は確かに聞き慣れた声を捉えた。
 少女から視線を変えれば、宮殿広場に足を踏み込んでくる黒尽くめの服装の男女三人と、先導するように先を歩いている真っ白なマントの女性が一人。

 どうやら待ち人達は、無事目的地に辿り着けたようだ。


「いっつもそうやってミランダさんにきつく当たって! 悪いことなんて何もしてないでしょ! 寧ろその場で待機って言ったのに動いたユウが悪い!」

「俺の所為じゃねぇよ! 変な男がやたらと体に触れてくるから返り討ちにしてやったら、暴行だなんだ喚きやがって…ッ」

「ま、まぁっそんな大変なことがあったのっ? ももももしかしてエクソシストを狙ったAKUMAだとか…!」

「いや、ただの軟派男だったんだ」

「…え?」

「…軟派?」

「神田を女性と間違えてたみたいで。セクハラ紛いな軟派をしてきた男だったんだ」

「「……」」

「おいマリ余計なこと言うなッ!」


(…おやおや)


 こちらまで聞こえてくる騒がしい会話の内容に、ついくすりと笑みが漏れる。
 どうやら目的地には辿り着けたが、色々と問題は起こっていたらしい。

/ 723ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp